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池田哲平のコラム
牛の解剖26:口2 ~口の大きさ~

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2010年1月23日

 牛は採食のためにのみ口を使うので、口周りを見ることによってその牛の餌食いの状況や能力が分かります。
 餌を食べる時には口周りに飼料がくっつきますし、個体によっては口だけでなく鼻や目の下辺りまで飼料によって白くなっている様な牛もいます。このような見た目は勢い良く飼料を食い込んでいるという指標になりますし、食べている様子を見ていても気持ちがいいものです。どんどん食べて大きくなってくれよと言う気持ちになります。ですが、よく食べるからといってどんどん濃厚飼料を打ち込んでいくと、軟便や下痢の原因になり逆に餌食いが落ちたり、ひどい場合には急性のルーメンアシドーシスになったりします。個体(あるいは群)を見ながら加減してあげてください。
 また一般的に、口幅の大きな牛は食い込みがよく増体が期待できるといいます。血統で言うと気高系の牛にそういった傾向がみられます。では口幅の狭い牛はダメなのかというと、一概にそういうことも言えないのです。但馬系の牛は面長で口幅が狭い傾向にありますが、但馬系は資質系とも言われている通り増体よりも肉質への期待が大きいです。
 それらを踏まえて、それぞれ自分の飼料の成分ややり方に合った素牛を選んで肥育していくことが大切です。
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