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食物を体内に摂取しそれらの消化・吸収を行うのが消化器の役割ですが、その全てのスタートは口です。 口の主な役割は水を飲んだり食物をくわえて噛み砕き、唾液と混ぜることですが、その中で大きな役割を果たしているのは「歯」「舌」「唾液腺」などの付属器官です。つまり“口”というのは顔や足などのように身体の部位を表す名称であって、臓器や組織の名称ではないのです。 口は動物によっては時に攻撃や防御にも使われます(イヌやネコ)が、ウシがこういった目的でヒトなどを咬むことはまずありません(診療中に後ろから服をくわえるなどちょっかいはかけてきますが…)。また他に口の消化器以外の役割として、呼吸に使うこともあります。ヒトと同じですね。しかしながら、ヒトが全力疾走した後や夏の暑い日に口をあけて息をするのと違い、ウシがはっきりと口で呼吸をする(開口呼吸)場合は、重篤な呼吸器の疾患が絡んでいる可能性が高いです。末期の肺炎などのときに見られます。 つまりは、通常ウシという動物は、採食のために物をくわえる、または水を飲むという目的以外には口は使わないのです。 |