呼吸のリズムを調節している呼吸中枢があるおかげで、ヒトや動物は無意識下でも正常な呼吸ができます。しかし、何らかの原因で呼吸中枢がうまく働かなくなってしまったら…
医学の国・ドイツの伝説で“オンディーヌの呪い”というものがあります。
水の精であるオンディーヌは、湖水の近くで見かけた美男の騎士と結婚しました。しかし年月は経ち、ある日、夫は彼女を裏切り不倫をするのです。するとオンディーヌは夫に向かって呪いの言葉をかけました。「あなたは目覚めているあいだ、息をするたびに私への忠節を誓うと約束しました。しかしその誓いを破りましたから目覚めているあいだは息ができるが、一度でも眠ったら息は止まり死ぬでしょう」と。
人の難病の“中枢性肺胞低換気症候群”の別名にもなっているオンディーヌの呪いですが、これは、呼吸中枢が機能しなくなり意識的に呼吸をしないと呼吸不全になってしまうということです。睡眠という無意識の状態では、呼吸ができなくなってしまうのです。
動物の体の恒常性を保つ仕組みというのは、本当によくできていますね。。。