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原田みずきのコラム
ぜにたむし

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2019年10月4日

シェパードでは獣医師を募集しています
 シェパードでは、関東地区の獣医療が不足している地域を支援するため、栃木県那須塩原市に支所を設けることにいたしました。2020年の4月に開設する予定です。経験、未経験は問いません。シェパードで研修後、現地勤務となります。募集内容は こちら から。

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見苦しい写真で申し訳ないですが、こちらを御覧ください。

2、3週間ほど前から鼻の左側がジュクジュクしてきて、写真のように赤くなっていました。日焼けかな?と思って放置していたのですが、一向に治らないので皮膚科へ。
先生に診てもらうと、「牛のカビが感染ったんじゃない?」と言われ、鼻の皮膚を掻き取って鏡検してもらいました。顕微鏡写真を見せてもらうと、菌糸がうじゃうじゃ。診断結果は皮膚糸状菌症でした。抗真菌薬の軟膏と内服薬をもらい、現在治療中です。
顔や体にできる皮膚糸状菌症は「ぜにたむし」と呼ばれます。「インキンタムシ」のたむしです。そう考えるとちょっとショックでしたが、せっかくなので事務所の顕微鏡でも見てみました。


うーん、よくわからないですね。細長くて分節があるように見えるのが菌なのでしょうか。

皮膚糸状菌症はヒトやウシ、イヌ、ネコなど幅広い動物に感染する病気で、原因は糸状菌と呼ばれるカビの一種です。皮膚糸状菌は皮膚や爪を構成しているケラチンを栄養源としており、これが感染することによってヒトの顔面や体部だと円形の赤い皮疹ができます。ウシだと目の周囲や頸部の皮膚などが円形に脱毛し、病変部皮膚が肥厚して白っぽくなります。人獣共通感染症で、動物からヒト、ヒトからヒトにも接触感染します。ただ、健康なヒトや動物は接触しても発症することは少なく、何らかの要因で抵抗力が落ちていると発症します。

私の場合、糸状菌症の牛を診察しているときに感染ってしまったと推測されます。あまり自覚はなかったのですが、免疫力が落ちていたのは9月の暑さと寒暖差のせいなのでしょう。季節の変わり目は知らずしらずのうちに体調を崩しやすいシーズンです。みなさまもお気をつけください。

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