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池田哲平のコラム
牛の解剖16: 肺(2) ~主役なのにとっても消極的~

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2009年11月7日

 呼吸というのは肺が膨らんだりしぼんだりすることによって肺に空気を送り込み、そこでガス交換を行うことですが、実は肺そのものの動きはとても受身なのです。どういう事かと言うと、肺は自分の力で膨らんだりしぼんだりしているのではなく、胸やお腹の動きに合わせてつられて大きくなったり小さくなったりしているだけなんです!つまり、胸腔(肺の入っている空間)が広がれば肺は自然と膨らみ、逆に狭まれば肺も縮みます。これは、肺の納まっている胸腔の中が外の空気より圧力が低くなっている(陰圧になっている)ためです。圧力の高い空気が圧力の低い胸腔(肺)へと自然に入っていくんですね。
 外傷や気胸(肺から空気が漏れて胸腔に溜まる)によって胸腔の中に空気が入ると胸腔内は陰圧でなくなるので、肺は充分に膨らめまなくなり、その結果、肺には充分な空気が送り込まれず呼吸困難になってしまいます。
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