2019年9月13日
* * * * * * * * * ピロプラズマ病は寄生虫の一種である原虫が引き起こす病気で、大型ピロプラズマ病と小型ピロプラズマ病に分けられます。大型ピロプラズマ病はバベシア科、小型ピロプラズマ病はタイレリア科の原虫が原因となります。主に放牧地にいるダニが媒介するため、放牧されている牛によく見られます。 どちらの原虫もダニの唾液腺に潜んでいて、吸血時に牛の体内に侵入し、牛の赤血球に寄生することで病気を引き起こします。牛の赤血球内に原虫が侵入すると、そこで分裂と増殖を繰り返し、赤血球を破壊します。これにより寄生された牛は貧血、黄疸、発熱などの症状を呈します。治療は抗原虫薬であるガナゼックの投与、重度の貧血の場合は輸血が有効です。 ところで、こんな呪文を聞いたことはありますか? 「ぎゅうぎゅうの口の感の狂った短期のデブがけつようぴに遊びにでんとアフリカのスーダンにこられペットにヒナをもらった」 某獣医漫画で目にした方もいらっしゃるかもしれません。法定伝染病の語呂合わせです(古い語呂合わせなので、現在法定伝染病に指定されているものとは一部異なります)。 法定伝染病に指定されているのはBabesia bigeminaとBabesia bovis で、国内ではオウシマダニというダニが媒介します。しかしこのオウシマダニは以前は沖縄の八重山という地域に生息していたのですが、今は撲滅されているため現在国内での発生はありません。とはいえ他の原虫が原因となるピロプラズマ病も重篤な貧血を引き起こす恐ろしい病気なので、牛を放牧されている方はお気をつけください。 前の記事 首元にご注意 | 次の記事 イヌのバベシア病 |