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池田哲平のコラム
牛の解剖14: 気管(3) ~肺への枝分かれ~

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2009年10月24日

 気管は肺の中に入ると“気管支”として細かく枝分かれします。ちょうど大きな木の幹から枝が出て先に行くほど細くこまかく枝が張る様子に似ています。
 ですが、気管と木には大きく違う点があります。それは、気管は左右の肺に基本的に1本の太い気管支しか出さないと言う点です。木のように幹から直接何本も枝は出ないんです。この左右に分かれる太い気管支(幹気管支)から左右の肺にそれぞれ細かい気管支が分岐していきます。
 でもこの原則は、実は牛には当てはまらないんです!!牛は左右の肺に気管が分岐する前に、右の肺の頭側の一部にだけ別の気管支が分岐しているんです。これを「気管の気管支」と特別に呼びます。よく知られている動物では、他に豚もこの気管の気管支を持ちます。
 しっかりしたデータはないのですが、牛の肺炎は右側が重症化する傾向にあるという獣医さんもいます。はっきりとは分かりませんが、この気管の気管支が何かしらの影響をおよぼしているのかも知れません。
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