(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第251話「炎症をどう扱おうか⑥」

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2019年9月11日

シェパードでは獣医師を募集しています
 シェパードでは、関東地区の獣医療が不足している地域を支援するため、栃木県那須塩原市に支所を設けることにいたしました。2020年の4月に開設する予定です。経験、未経験は問いません。シェパードで研修後、現地勤務となります。募集内容は こちら から。

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ラジオから森山直太朗の『夏の終わり』が流れてきました。あ~…そんな時期なのか~、と思いました。
なのになんですかこの汗の量は!!!鹿児島の夏の終わりはまだ先のようでやんす。

ステロイド剤と非ステロイド

「ステロイド」という単語は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。なんとなくステロイドって不安…という方もいらっしゃるかもしれませんね。今回からは、ステロイド剤や非ステロイド剤がどうやって炎症を止めてくれるのか、なぜステロイド剤には不安感を抱きがちなのかをしばらく見ていくことにします。

まず炎症を引き起こす成分がなんなのかをみていきましょう

カタカナがいっぱい…( ゚Д゚)
覚える必要はありませんよ(笑)。炎症反応のはじまりは壊れた細胞膜です。傷ついた細胞膜に含まれるリン脂質がアラキドン酸に変化することで疼痛や発熱をもたらす成分が作りだされます。

そしてステロイド剤(牛さんの世界ではデキサメサゾンという注射が有名ですね)はその変化をストップさせる力があります。

詳しく言うと、ホスホリパーゼA2という酵素の作用をジャマしてアラキドン酸ができないようにしてくれます。当然ですが、材料ができてこないので、それより下の炎症をもたらす成分は発生しません。上流を止めてくれるので、炎症を止める反応は非常に強力と言えますね。

さらに、非ステロイドの作用点はこちらです。

こちらは図のようにシクロオキシゲナーゼという酵素をジャマするので、その酵素によって作られるプロスタグランジンなどの成分ができなくなります。ステロイドよりも作用が限定的なので、抗炎症反応は若干劣ります。

次回はステロイドと非ステロイドのメリットとデメリット、さらになぜステロイドに不安感がつきまとうのかについてみていきましょう。

つづく

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