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第252話「炎症をどう扱おうか⑦」

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2019年9月18日

シェパードでは獣医師を募集しています
 シェパードでは、関東地区の獣医療が不足している地域を支援するため、栃木県那須塩原市に支所を設けることにいたしました。2020年の4月に開設する予定です。経験、未経験は問いません。シェパードで研修後、現地勤務となります。募集内容は こちら から。

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ステロイド剤と非ステロイド-PART2-

「ロイコトリエン」の働きって覚えてますか?血管から出てきた白血球に「炎症が起こっているのはここだよ~。おいで、おいで~」と呼び寄せる作用がありました。それにより、組織に出てきた白血球はより早く病原体のもとへ駆けつけることができます(白血球の遊走作用)。

ステロイドを使用すると、すべての炎症成分を抑えてくれるのですが、このロイコトリエンの作用も停止させます。血管透過性が弱まることに加え、白血球が効率よく動きにくくなるため、組織中の病原体と戦う力を弱めてしまうというデメリットが発生します。
ステロイド剤の長期使用をすると、表皮に存在する免疫細胞の活動性にも影響を及ぼします。そのため、写真のように重度の皮膚糸状菌症を発症してしまうこともあるのです。通常であれば表皮に付着した菌類はすぐに体表の免疫細胞がやっつけてくれるのですが、ステロイドの長期使用があると、免疫力が弱まってしまいます。

一方、非ステロイドは作用が限定的でした。ステロイドと異なり、薬剤を使用してもロイコトリエンは作られます。そのため、白血球の動きを邪魔しないというメリットが出てきますね。

でも、そんな非ステロイド剤にも欠点はあります。それはステロイドのときと同様にプロスタグランジンを止めてしまうという点です。このプロスタグランジンにはいくつか種類があるのですが、痛みや発熱をもたらすプロスタグランジンE2やプロスタグランジンI2といった成分には胃粘膜保護作用もあるのです。

特に牛さんでは非ステロイド剤を使用した際にこの副作用が強くでてしまう印象があります。薬剤投与翌日に血便する、胃潰瘍になる、といったケースがそれにあたります。痛みを選択的に取ってくれるのはありがたいのですが、消化管にとってはあまり良い薬とはいえないようです。

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