2019年9月18日
* * * * * * * * * ステロイド剤と非ステロイド-PART2- 「ロイコトリエン」の働きって覚えてますか?血管から出てきた白血球に「炎症が起こっているのはここだよ~。おいで、おいで~」と呼び寄せる作用がありました。それにより、組織に出てきた白血球はより早く病原体のもとへ駆けつけることができます(白血球の遊走作用)。 ステロイドを使用すると、すべての炎症成分を抑えてくれるのですが、このロイコトリエンの生産も停止させます。血管透過性が弱まることに加え、白血球が効率よく動きにくくなるため、組織中の病原体と戦う力を弱めてしまうというデメリットが発生します。 一方、非ステロイドは作用が限定的でした。ステロイドと異なり、薬剤を使用してもロイコトリエンは作られます。そのため、白血球の動きを邪魔しないというメリットが出てきますね。 でも、そんな非ステロイド剤にも欠点はあります。それはステロイドのときと同様にプロスタグランジンを止めてしまうという点です。このプロスタグランジンにはいくつか種類があるのですが、痛みや発熱をもたらすプロスタグランジンE2やプロスタグランジンI2といった成分には胃粘膜保護作用もあるのです。 特に牛さんでは非ステロイド剤を使用した際にこの副作用が強くでてしまう印象があります。薬剤投与翌日に血便するといったケースがそれにあたります。痛みを選択的に取ってくれるのはありがたいのですが、消化管にとってはあまり良い薬とはいえないようです。 前の記事 第251話「炎症をどう扱おうか⑥」 | 次の記事 第253話「炎症をどう扱おうか⑧」 |