|
|
前回お話したとおり、気管は小さな輪状の軟骨が連続的につながったものなのですが、実はこの気管軟骨は完全な輪っかではないんです。本当はどういう形をしているかというと、アルファベットの“C”の字のような形になっていて、背中側が一部開いているんです。そして、気管軟骨の隙間の端と端を継ぐように、筋肉がくっついています。この筋肉のことを気管筋と言います(そのまんまですね!)。この気管筋は筋肉の中でも平滑筋と言われる種類のもので、動物が自分の意思では動かせない筋肉のひとつです。ちなみに、私たちが肉として食べる筋肉のほとんどは骨格筋と言い、動物が自分の意思で動かせる筋肉のことです。 人で気管支喘息という病気がありますが、これはアレルギーや慢性的な気管刺激によって気管筋が異常な収縮を繰り返すというものです。言い方を変えれば、気管筋が痙攣を起こしている状態です。気管筋の収縮により気道が狭くなり、呼吸困難になると言うものです。牛の世界でこの“喘息”という言葉が使われているのは聞いたことがありませんが、時々、発作的に咳を繰り返す様な牛は、ただの風邪(上部気道炎)や肺炎ではなくアレルギー性の喘息のようなこともあるのかなぁ、と個人的には少し思っています。 |