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池田哲平のコラム
牛の解剖11: 気管(1) ~肺に空気を送る蛇腹ホース~

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2009年10月3日

 空気の通り道としてのどの部分で喉頭から続くのが気管です。鼻と同様に気管もその内側は粘膜層になっていて、粘液を絶えず分泌して病原体からの生体の防御に携わっています。過剰に粘液がたまると粘膜が刺激されて、気道を掃除する目的で生じるのが“咳”です(ちなみに、鼻の粘膜が刺激されて生じるのが“くしゃみ”です)。
 気管は小さな輪状の軟骨がいくつも繋がって出来ている臓器です。ちょうど洗濯機の排水のところによく使われている蛇腹のホースみたいな感じです。一本の連続した軟骨ではなく小さな軟骨がいくつも繋がってできることで、ある程度の強度と自由度を獲得できているのです。牛の首は比較的長くとてもよく曲がるので、首の奥にある気管は空気をいつでも肺に送れるように丈夫で、かつ首の動きに対応できるように柔らかくないといけませんからね!
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