やはり小難しくなってしまっている解剖の話ですが…(汗)
今回は少しお休みして、経鼻投薬という、より臨床の実践の話をしたいと思います(一部、他の獣医師の昔のコラムと重複しますが)。
私が経鼻投薬に使うのは、鼻から胃まで薬を運ぶチューブと、薬を混ぜて投与するための容器です。
(1)道具
チューブ選びのポイントとしては、弾力性のある柔らかい素材で透明なものがいいです。固い素材では狭い鼻道は簡単に傷つき出血します。また透明で中が見えた方が薬が入っていくのを確認できて便利です。
また薬の容器に使っているのは車用のオイルジョッキです。コンパクトで使いやすく、薬を投与しながら中の減り具合や薬の混ざり具合をチェックできるのも◎
チューブと容器はうまく繋げられる様に、それぞれ口の部分だけジョイントを変えるのがポイントです!
(2)チューブを鼻に入れる
最初、牛さんはもの凄く嫌がります。こんな大きな“異物”は入れたくないでしょうし、当然ですよね…。ですが、無理にゴリゴリ押し込まないように!血管の豊富な鼻粘膜は簡単に出血します。予め、先端20cmくらいを濡らしておくのもいいです。
(3)食道に入れる
鼻道を抜けて喉頭を通って食道へとチューブを入れます。この時、牛さんが“ゴックン”と嚥下するのに合わせてチューブを進めると食道に入れやすく、気管に入って誤嚥させることも少ないです。食道に入ったかどうかの確認は、チューブを吸って行います。空気が吸えないなら食道に、どんどん吸えるなら気管に入っています。
(4)胃に入れる
さらにチューブを進めて胃までもっていきます。胃に入ったかどうかの確認にはチューブから息を吹き込みます。胃汁のなかにチューブがあればゴポゴポという音が聞こえますし、さらに胃の内腔にあればガスが返ってきて独特の臭いがします。
(5)薬を投与する
容器とチューブをくっつけて、薬を投与します。最初は少しだけ流し、誤嚥がないか、スムーズに入るかなどチェックします。大丈夫ならあとはガンガン入れていきます。
終わったら容器をチューブからはずし、チューブから息を吹き込み、中に残った薬も胃内に送ってあげ、ゆっくりチューブを抜いてあげてください。
オシマイ☆