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池田哲平のコラム
牛の解剖6: 呼吸器(鼻5) ~狭いけど大事な通り道~

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2009年8月22日

 4つの甲介によってとても狭くなった鼻道は、これまた4つに分かれています。背鼻道、中鼻道、腹鼻道、そして3つをつなぐ総鼻道の4つです。これら4つの鼻道はそれぞれに決まった役割があります。
 背鼻道は鼻道の中で一番上にあります(前回のコラムの絵で、一番上の青矢印のルート、背鼻甲介の上)。ここは呼吸に関わるよりも嗅覚に関わる事がメインです。背鼻道の奥の方の粘膜は嗅粘膜になっていて、動物はここで臭いを感じます。
 中鼻道は背鼻道の下側にあって、鼻腔からつながる頭の中の空洞(副鼻腔)への入り口になります。この空洞は呼吸にも嗅覚にも関与せず、頭の形を整えるためのスペースだと言われています(副鼻腔の詳しい話はまた今度)。
 腹鼻道は一番下側、つまり口のすぐ上の方にあります。ここが空気のメインの通り道になっており、腹鼻道はのど(咽頭・喉頭)へとつながります。
 総鼻道は、先に言った3つの鼻道を全てつなぐように、鼻の中心寄りにあります。4つの鼻道はアルファベットの‘E’の文字みたいに繋がっているんですね。総鼻道と腹鼻道の合流点は比較的広く、鼻から薬を飲ませるときのチューブ(カテーテル)を通すときに使います。経鼻投薬はとても簡単に、かつ確実に薬剤や生菌剤を牛に投与できる方法として重宝している方も多いかと思います。
 
 次回は、私が行っている経鼻投薬の方法と道具を紹介したいと思います。
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