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池田哲平のコラム
牛の解剖5: 呼吸器(鼻4) ~鼻は瞬間ガス湯沸かし器!?~

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2009年8月8日

 前回は呼吸器としての鼻の役割を簡単にお話ししました。

 しかし!

 これらの機能は、鼻の孔の中がとても“狭い”構造をしているということで、初めて最大限に発揮されるのです。
 鼻の孔から入って鼻の中に進むと、その内腔は外から見る鼻の大きさより結構狭いんです。これは、鼻の中には、紙をクルクルと巻物状に巻いた筒のような構造物(“甲介”といいます)が4つあって、その筒が鼻の中のかなりの容積を占めるためです。実質的な鼻の中の通り道(鼻道)は非常に狭く細いです。ですが、鼻道がこの様に狭いことによって鼻に入った空気は確実に粘膜と接触し、そのおかげで空気は温められ、湿らされ、異物はトラップされるわけです。たった2〜30センチくらいの鼻腔を通る間に、空気はまさに“瞬間ガス湯沸かし器”のごとく、体温と同じ温度まで即座に温められているんです!

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