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池田哲平のコラム
牛の解剖3: 呼吸器(鼻2)

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2009年7月25日

 前回は鼻の一番外側の構造について話しました。今回はもう少し奥のほうに進みましょう。
 鼻の穴(外鼻孔)から鼻の中を覗くと、鼻の粘膜が見えます。鼻粘膜には血管が非常にたくさん存在しています。普段のなにも異常がない状態では薄いピンク色をしていますが、感染が起きていたり発熱や炎症が起きたりすると、血流が盛んになり、鼻粘膜は赤くなってきます。可視粘膜(外から見ることのできる粘膜:鼻粘膜、眼結膜、口腔粘膜、膣粘膜など)の状態は、外貌検査で是非チェックしたい項目の一つです。
 また、農家さんが気付く牛の異常の一つに「鼻がずんだれている」と言うのがあると思います。そう、鼻水が垂れている状態ですね(この言葉の意味は、言葉の響きと牛の状態を見て何となくですがすぐに分かりました!まだまだ「?」な鹿児島弁は山積みですが…)。鼻の粘膜からは絶えず漿液性〜漿粘液性の分泌液が出ていますが、病原体の感染初期〜中期にかけてはこの分泌が盛んになり、病原菌が粘膜に定着し重度感染するのを防ぎます。牛が本来持っている生体防御機構が発揮されるのです。ですので、鼻水が垂れていたら、「あ〜どうしよう!大変!!」と思うのも分かりますが、「一生懸命病気と闘っているんだな、頑張れよ!」と、応援してあげて下さい。牛にもその気持ちは伝わります!
 あ、ひどい場合はもちろん獣医を呼んでくださいね。。
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