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伏見康生のコラム
「NO.168 「眼球陥没」」

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2012年1月25日

 牛が眼球陥没しているといえば、

 ・分泌性腸炎や、ルーメンアシドーシス、失血などによる細胞内液、外液の「脱水」状態

 ・あるいは、眼窩脂肪が少ない発育不良牛などの「低栄養」状態

を示す指標として大切なクリニカル・サインです。
 前者はさらに頸部皮膚や下眼瞼のツルゴール反応(皮膚テント)、血液のヘマトクリット値など、後者はボディコンディションや栄養度などが確定の助けになります。

 しかし上記の2病態以外でも眼球が陥没し、診断のノイズとなる牛が数%存在する気がします。「もともと眼が凹んで見える顔の牛」というのも確かに存在するのですが、それ以外に「人間に捕まると眼球を陥没させる牛」に何度か遭遇しています。

 勝手な印象ですが臆病なビクビク系の牛に多いようです。捕まえる前の外貌では、そう眼が凹んでいるようには見えなくても、捕まったとたんスコーンと眼が落ちてしまいます!

 牛にしてみれば・・・「やばいっつ!!怪しいやつに捕まった!!!牛生最大のピンチだーー!!」と一瞬にして興奮がピークに達し、交感神経が全開になり・・・なぜか眼が凹むんでしょう(笑)

 私も小学生のときには、注射が怖くて・・・交感神経全開で眼をへこませていたのかも(笑)

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