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みなさん、牛のイボで一番恐ろしいものってなにか解りますか?以前のコラムで書いたパピローマ(あまぢち)? いいえ、あれも見かけは悪いし全身に広がることもあるのでイヤといえばイヤですが、有効な治療法もなく放っておくと死んでしまうし、お肉にしようと思って出荷しても全部廃棄になる確率が非常に高い、そういう恐ろしいイボがあるのです。 その正体は、疣贅性心内膜炎、またの名前をイボ状心内膜炎といいます。名前の通り心臓の内膜、とくに弁膜に多く発生する細菌性のイボです。 疣贅性心内膜の牛さんの症状は、40℃前後の発熱が続き、抗生物質を投与すると一時的に熱が下がるものの、すぐに再発熱が見られます。ただ、全く気がつかず、出荷されてから疣贅性心内膜炎だと解って全廃棄になりびっくりした、という事例も時折見かけます。 心臓の中のことですから、診断も断定できるものではありません。先ほどお話した症状の他に頸静脈拍動などの弁閉鎖不全の症状や血液検査などを総合的に判断するしかありません。 「細菌性」なのだから抗生物質でガンガン叩いてやれば...。って思われるかもしれませんが、僕は非常識なくらいの抗生物質やヨードカルシウム剤などの併用でも治せた経験がありません。ダメもとで出荷した牛たちの中で、食肉検査に合格したのも、これまで20年間で1頭しかいません。情けない話ですが、今のところ有効な手だてを持っていません。どなたか確実な診断法と有効な治療法を持った方いらっしゃいませんか?
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