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松本大策のコラム
「マイコプラズマには耳道洗浄が有効!」

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2006年11月22日


 マイコプラズマによる感染症は、肺炎もやっかいですが、中耳炎から脳炎を起こして死亡してしまうこともあるやっかいな病気です。しかもこの病気で耳介が下垂(耳が垂れてくること)した牛さんでは、鼓膜も破れて中耳に膿がたまっていることが多く、この膿を放置したままでは、いくら強い抗生物質を全身投与しても、なかなか膿の中のマイコプラズマ菌に届かず、効果が上がりにくいのです。

 マイコプラズマで耳介下垂している牛さんの場合は、耳の穴の中を洗浄してあげるのが効果的です。水道水に抗生物質(OTCなどの安いヤツで十分)を1ml程度混ぜて、針を外した注射器など(点滴のチューブをつけて耳の穴の奥にいれると効果もアップ)で、耳の穴を洗浄してあげましょう。。耳に水が入ると牛さんはびっくりして頭を振ります。このとき遠心力で、奥にたまった膿も飛び出すので、牛さんもすっきりです。じつは、どの場所にある化膿症でも、膿(ばい菌を食べた好中球という白血球とその死骸です)の中には、炎症を進めて(悪化させて)しまうサイトカインという物質が含まれているので、可能な限り膿を除去するのが化膿性疾患の治療の基本なのです。乳房炎軟膏の注入も効果があると思いますが、洗浄して膿を除去できる、という意味では、注射器での洗浄の方がよいかも知れません。

足寄の秋山先生が洗浄ガンを開発したと伺っています。秋山先生、掲示板ででも紹介いただけないでしょうか?

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