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笹崎直哉のコラム
鑑定結果マイナスを喜びへ その2

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2019年6月25日

 それではいざ笹崎が妊娠鑑定に伺い、妊娠マイナスの牛さんに対して冷静に対応されていた農家さんとの会話を紹介します。

【農家さん】分娩後45日に良い発情がきたから、種付けてもらったんだけど、今日で40日になるよ。

【笹崎】AI後40日であれば鑑定できますので、やってみますね。・・・(鑑定中)・・・妊娠マイナスです。

【農家さん】残念だけど早い段階で分かってよかった。遅くなればなるほど、ただ飯になるからな。ちなみに子宮頸管とか卵巣どうなってる?動いてる?

【笹崎】膣鏡検査してみますと、透明な粘液が頸管付近に少量溜まっています。膿や汚れはありませんので子宮内膜炎はなさそうです。それから子宮頸管は指1本くらい開いてますし、充血してます。

【農家さん】周期的には発情きてもおかしくないよね、、、きそう?

【笹崎】子宮も力んでますし、左の卵巣に主席卵胞があるので、黄体が消失しているときかもしれません。ちなみに卵巣のサイズは十分なのでしっかりと栄養が届いてます。このまま待っていれば自然発情がくると思います。

【農家さん】それなら、発情をまってみる。でも前回もいい発情だったのに妊娠してなかったよね。何か対策したほうがいいかな。

【笹崎】AI後の不妊治療をしてもいいかもしれません。胚の着床前後の問題だったり、早期胚死滅がおこっているかもしれません。

【農家さん】今回の自然発情で種付けてみてそれでも、ダメだったときに、その治療してほしいんだけど。

【笹崎】わかりました。ではまた40日経過したら鑑定しましょう。

【農家さん】はーい。ありがとねー。

 どうでしょう。妊娠マイナスをきちんとプラス思考で受けとめ、今後の対策をしっかり獣医師と会話の中で決定していました。このように妊娠マイナスの場合は次回発情のためのアクション(ビタミンを補充するのか、ホルモン剤の注射するのか、配合飼料や粗飼料の量を増やすor変更して様子を見ていくのか、母牛のストレスの要因を見つけて断つのか、子宮内膜の感染症で治療するのか)を丁寧にとっていくことをお勧めします。

 ちなみに後で分かったのですが、先ほどの方は1年1産を達成している農家さんでした。

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