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伏見康生のコラム
「NO.151 「SPAY 〜おなべちゃん2〜」」

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2011年8月31日

 今回は、卵巣摘出の手技を簡単にご説明いたします。

対象雌牛を枠場に保定

しっぽを保定

止血剤(トラネキサム酸)を術前投与

術者は、直検にて左右の卵巣が触知できることを確認

助手は膣鏡を挿入

長いノズルのスプレーを用い、膣内部を塩化ベンザルコニウムでよく洗浄

膣鏡をガイドに、術者がモーカッター(以下、摘出器とします)を膣深部まで挿入

摘出器と置き換えるように膣鏡を抜き、直腸に右手(ヒトにより左手)を挿入

ちょうどAI(人工授精)のときと同じような姿勢、状態になる

経直腸的に膣、頚管、摘出器の立体イメージを把握

頚管やや上部の腟壁に摘出器の先端をあてがう

摘出器先端の隠し刃を露出させ、膣壁を突破し骨盤腔内に機械先端を刺入

直腸に入れている手で、一方の卵巣を摘出器の先端ポケットに挿入

このとき、卵巣周囲のほかの組織を巻き込んでいないか、入念に確認

左手のレバー操作にてポケットのふたを閉じ、卵巣動静脈を30秒ほど挫滅(ふたは挫滅できるように波状の滑り止め加工がされてある)

左手の操作にてポケット内の刃で卵巣を切除

もう一方の卵巣も同様に行う

左右の卵巣を切除後、切除器の後端の孔から抗生物質を注入

抗生物質は摘出器先端付近に通じている孔から骨盤腔内に噴出される

リリース

 摘出の終わった雌牛たちを見ても、背を丸めるでも無く、しっぽを上げるでも無く、特に何事も無かったようにくつろいでいました。

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