さて、実際に使用してみました症例の報告です。
生後20ヶ月近い黒毛和種去勢肥育牛。柵にぶつけたのか、左の角を脱角(さや抜け)し、中の骨もポッキリと根元付近から骨折。凄まじい出血があったため、農家さんがきれいに除角、焼灼していました。牛の角は鹿などとは違って頭蓋骨の一部であり、大きく成長した角を切るあるいは折ることは頭蓋骨を切ることと同じなので、そのあとに大きな穴が空いてしまいます。
暫らくして、予想通り内部の空洞に膿がたまりはじめたようで、そこで獣医師に往診を依頼。2週間ほど治療するもあまり良くならなかったようで、セカンドオピニオンを求めて(?)シェパードに求診。
診察してみると角の断面には小さな穴が開いているが、大部分はかさぶたというか焼灼により変性したたんぱく質に覆われた状態。治癒のためには、排膿を進め、肉芽増生をさせることがいちばん。そこで変性たんぱく質をベリッと完全に除去しぽっかりと穴を露出させ、プレッシャースプレーを用い内部を水でガンガン洗浄。洗浄後にガーゼを詰めてガーゼドレーン(響きはかっこいいけど・・・ガーゼに膿を吸わせるってだけ)を設置。洗浄・ガーゼ交換を3日おきで4回ほど行い、ほとんど膿が取れなくなった頃そこへマムシ焼酎を2、3日噴霧。2週間ほどほっといたところ・・・穴はばっちり肉芽で埋まっていました。
とはいえ、そこまでしてかつ2週間も置いておけば、肉芽が穴を埋めるのも当然な気もしてしまい、マムシパワーはちょっと不明です。できればキトサンとの比較などもしてみたいのですが、対照区の設置と言うのも現場では難しい。
症例を増やしてみたいなと思っていた矢先、農家さんから、「マムシ焼酎を怪我した牛に飲ませると治りが良い。」「下痢に効く。」「何でも効く。」等、多くの不確定な情報が集まり、症例に使用するにはまだまだ情報収集が足りないな(笑)とおもいました。次のマムシ焼酎出動がありましたらまたご報告させていただきます。
終わり