昨年、とある地方のとある農場での会話。
「伏見先生、出来上がったマムシ酒があるから、ぜひ持って帰って診療に使ってみてよ。」
「はあ、マムシ?ですか・・・・。何に効くんですか?」
「やっぱり、マムシ酒はひどい傷なんかにいいな。」
「傷に・・・。飲ませるんですか?」
「いや、吹きかけとけばどんどん肉芽が盛ってくるよ。」
ということで手元にやってきたマムシ酒。いい具合に(ホントは初めて見るからいいかどうかなんてわからないんだけども)マムシエキスが抽出された琥珀色の液体が、効きそうな且つ危なそうな、怪しい光を放っています。
なんとなく、滋養強壮や精力増強に効果がありそうなイメージのマムシ酒ですが、薬理学の教科書にのっているかといえば・・・のっていない。そして教えられたのは創傷に対する使用。傷口にアルコールですからとりあえず表面消毒にはなりそうですが、その先の抽出成分の働きに関しては完全にノーデータ。しかし、“科学的根拠に基づいた獣医療は大切であるが、多くの偉大な先人たちが遺してきた手技や療法には必ず真理がある”的な理論を大事にしている私。マムシ酒パワーは、ためして肌で感じ取る価値のある、先人たちの療法と判断。現地の獣医さんのお墨付もあったため、早速傷に使ってみることにしました。
つづく〜