2019年6月11日 分娩が終わった後、赤ちゃんが無事に自分の力で立ち上がって、初乳を飲むかどうか非常に心配ですよね。お母さん牛の新鮮な初乳には生きた細胞、ホルモン様の物質が含まれます。こういった重要な成分は時間の経過とともに減少してしまうため、生後2~3時間以内には飲み始めてもらいたいものです。 初乳はカード(チーズのような固形物です)とホエー(半透明で白色の液体)からなっています。カードの主成分はお母さん牛由来のタンパク質や脂肪分といった栄養成分で、ホエーは免疫成分からなります。一般的に初乳製剤と呼ばれるものはこのホエーをもとに作られているものが多いです。 ホエーに含まれる免疫成分は免疫グロブリンというもので、細菌やウイルス等の病原体に結合し、病原体の動きを止めたり、破壊して感染を防ぐ物質です。免疫グロブリンは大きく分けてIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類あり、血液中、組織液、初乳中に存在します。 IgGは初乳はもちろん血液中にもっとも多く含まれ、IgAは腸管、気道などの粘膜に多く含まれ、体の局所の感染防除にもってこいです。あ、もちろん初乳にも含まれてますよ。また局所免疫力を上げようという目的で、IgAをターゲットとしたワクチネーションをするケースもあります。 免疫力の低下している牛さんに輸血することがあると思いますが、免疫グロブリンを補給する意味では非常に有用ですよね。でもやはり、赤ちゃん牛はこのような免疫グロブリンはこれまたびっくりで「ほぼゼロ」の状態で生まれてきますので、時間制限がある中で良質な初乳を十分量摂取させてあげることがその後の発育のカギになるのです。 前の記事 カーフハッチについて その3 | 次の記事 鑑定結果マイナスを喜びへ その1 |