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戸田克樹のコラム
第233話「どうして太っちゃだめなのさ②」

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2019年5月8日

人間の場合は体重測定でその増減を把握することはできますが、牛さんで定期的に体重を測るのは不可能です。そのためどうしても体型で判定していくしかありません。

では、牛さんの適正体型とはどのようなものでしょうか。
牛さんの適正体型を語る上で蓮沼獣医師の第179話以降のコラムは欠かせません。この機会にぜひ改めてご覧になってみてはいかがでしょうか。

場内を歩きながら観察する場合、牛さんの全体的な丸みがないか、腰角や坐骨端の丸みはどうか、ましてや尾枕はついていないかをよくよく観察してみてください。
牛群全体の体型が太めであれば、黄色信号がともります。現時点で繁殖成績に不安なところがあれば赤信号です。もちろん、農場によっては「少し太めでも繁殖成績はそこまで悪くない」というところもあります。しかし、肥満傾向にある牛が多い牧場では群としての産歴が短くなる傾向が確認されたケースがありましたので、やはり黒毛和牛は「少しやせている」くらいの体型が繁殖供与期間をできるだけ長くするうえでは重要なのでは、と考えています。

繁殖母牛の適正体型を表す言葉に「あばら3本」というのがあります。
「後ろの肋骨が3本(第11~13肋骨)見えるくらい」がちょうど良いという意味です。あまり牛をじっくりと見る余裕のない場合は、左右の肋骨の浮き具合だけでも把握して、牛さんの体型が太り気味なのかそうでないのかを見てあげましょう。意識的に見てみることは非常に重要です。

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