2019年4月9日 さて今回は神経のお話です。マイコプラズマの感染症は中耳炎を起こすことが多いのですが、中耳の周囲には多様な神経が分布していますので、その神経達が障害を受けると、いろいろな症状が出てきます。ここが中耳炎の厄介なところです。牛さんの視点が合わないだとか、眼の周囲のまぶたが重くなり、腫れてきたり、眼が白く濁ったりすることがあります。これは眼球運動を支配している、外転神経、動眼神経、滑車神経が障害を受けた結果になります。この神経達は脳から直接体に向かっては走る神経「脳神経12対:嗅、神、動眼、滑車、三叉、外転、顔面、内耳、舌咽、迷走、副、舌下神経」の一部になります。牛さんの歩き方もふらついたりなど、ぎこちない歩き方になってしまいます。 ではもっと感染が進むと、どうなるのでしょうか? 答えは先ほど紹介した脳神経12対のうちの顔面神経、三叉神経に炎症が波及します。表情筋の運動、唾液線や涙腺の分泌、咀嚼運動などが麻痺し、ここまでくると治療が難しく、改善の見込みがほぼありません。具体的にはスターターを食べ散らかしたり、口元から唾液がダラダラと出たりなどの症状がでます。またハムスターがひまわりの種を頬に溜めるように、牛さんが顔面神経麻痺になると口の中に食べたものが溜まっており飲みこめていないことも見受けられます。 つづく 前の記事 マイコプラズマについて その4 | 次の記事 マイコプラズマについて その6 |