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笹崎直哉のコラム
マイコプラズマについて その4

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2019年4月2日

 牛さんの体の変化として「前足が腫れてきた」というのも重要なチェックポイントになります。マイコプラズマが悪さをしている可能性があるためです。マイコプラズマ性の関節炎と呼ばれるもので、最近ではあまり見られませんが、マイコプラズマ性の中耳炎や肺炎に罹患した経歴がなくても発生します。またマイコプラズマ性の肺炎に罹患した牛さんで治療が適切に行われていなかったり、何も処置をしていない状態が続くと鼻粘膜や肺炎で傷ついた上皮細胞からから感染し、関節炎に移行する恐れがあります。

 ご覧のように関節が腫れぼったくなり、関節が曲がってしまったりなどで跛行します。厄介なのがマイコプラズマ性の関節炎は他の関節へ広がるケースもあります。

 もちろん外傷や骨軟症といった代謝病なども考えられますので、マイコプラズマが悪さをしている!と断定はできませんが、見つけたときには中耳炎や肺炎等の疾患も併せてチェックして農場全体に広がっていないか意識する必要があります。マイコプラズマによる感染症は手遅れになると、体内の多岐にわたる部分に隠れ潜んで悪さをするため、次第に発育もおくれガリガリになります。でも体内にはマイコプラズマが好き好んでずっと潜んでいる恐れが、、、(泣)。一番怖いのは他の牛さんにマイコプラズマをまき散らし迷惑をかける「持続感染牛」になりますので(水場で感染するのも怖いです)、淘汰やせめて群から離して隔離部屋にお引越しする等の対応をしましょう。

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