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伏見康生のコラム
「NO.121: 「日本短角種のお話(8)」」

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2011年1月5日

 資料によると、昭和37年から昭和50年の間、和牛が役肉用牛から肉用牛に転換するその端境期には黒毛、褐毛、無角ともに軒並みその頭数が減少しましたが、唯一日本短角種だけが二倍近くに増加しました。
 しかし今では黒毛和種以外のほかの和牛同様、日本短角種もまた近年その飼養頭数を大きく減らしています。繁殖雌牛の飼養頭数は、平成16年度でわずか5,512頭となっています。経済性や効率を重視すれば、自然な流れなのかもしれません・・・

 そんな逆境の中ですが、インターネットを開いてみれば、完全なる国産の穀物飼料だけを使用した短角牛の生産をする試みや、放牧によりはぐくまれる景観や自然環境を短角牛と共に守っていこうとする運動など、短角牛を中心としたたくさんの活動が進められていることが分かります。
 これは言うまでもなく日本短角種がそれを取り巻く環境と、人々に愛されているからに他なりません。「ウシの動物学」の著者、遠藤秀紀先生の言葉をお借りすれば、そこには強力な「心のエネルギー」が働いています。きっと日本短角種はこれからも愛され、大切にされていくことと思います。

 おわり

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