(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
伏見康生のコラム
「NO.119: 「日本短角種のお話(7)」」

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2010年12月22日

 肥育農家さんへ引き取られていった子牛は14〜18ヶ月間、乾草・サイレージ・稲ワラなどとともにトウモロコシなど穀物を使った濃厚飼料が与えられ、肥育されます。そして生後22〜25ヶ月頃になると順次出荷され、赤身の美味しいお肉となります。

 ただそうなると、そもそも出産時期がほぼ同じで、セリ市場の時期、肥育期間も一緒であるので、必然的に出荷の時期も重なってしまうことになります。それはもちろん生産者にとっても、消費者にとってもあまり都合のよい事ではありません。

 そこで農家さんは、生後2年目の夏に再び山に放牧し、肥育期間を伸ばす「2シーズン放牧」と呼ばれる肥育方法をとることもあります。

 しかし、考え方によっては牛と自然と人間のライフサイクルに、それぞれの都合があいまって、日本短角種は和牛の中で唯一「旬」があると見ることもできます。人間側の都合だけで全てを捻じ曲げるわけではなく、三者の調和の中で作られたこの和牛には現代の合理主義には見られない「風情」を感じます。

写真はいわて牛普及推進協議会様サイトよりお借りしました。

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