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伏見康生のコラム
「NO.117: 「日本短角種のお話(5)」」

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2010年12月8日

 では日本短角種とはどんな特徴をもった和牛なのでしょうか?

 身体的特徴としては、毛色は濃赤褐色で中には鼡径部(お腹のおっぱいの辺り)に白斑をもつものもいます。 鼻鏡、蹄、角は肌色をしていて、体格は和牛の中では一番大きいです。家畜改良増殖目標によると、繁殖雌牛の体重、体高は590kg、132cmになり、黒毛和種の465kg、130cmと比較すると大きさの違いは歴然としています。早熟早肥で中躯が長く、肉用牛型の体系的特徴を持っています。筋繊維がやや荒く、脂肪沈着は黒毛和種に劣ります。性質は温順で、雌牛は産乳量に優れ、子育てがよいとされます。

 しかしなんと言っても日本短角種の最大の特徴は、東北、北海道の気候・風土に適合し、放牧に適しているという点です。粗飼料の利用性に富んでいるため、粗放な放牧でも野草を採食する能力が優れています。夏期間は放牧し、冬期間はサイレージや乾草の給与でよく、飼育農家にとっては、水田や畑作物の栽培で忙しい夏は山に放牧しておけばよいので、手間がかからないという利点があります。

写真はいわて牛普及推進協議会様サイトよりお借りしました。

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