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松本大策のコラム
ワクチンの正しい使い方 その2

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2019年3月8日

 さて、ここからはワクチンの正しい打ち方です。

 全国各地を巡回すると、ワクチンの使い方を間違えているケースがたくさんあります。少し前まで、先にお話しした「妊娠牛には生ワクチンを打ってはいけない!」という事を守っていないケースもたくさん見かけました。最近は、PI牛の問題がよく認知されてきているので、このケースはとても少なくなってきました。

 しかし、他にも誤ったワクチンの使い方をしているケースをよく見かけます。特に注意していただきたいのは、何種類かのワクチンを同時に打つ、というケースです。

 まず覚えておいていただきたいことは「ワクチンを同時に二種類以上打つことは法令で禁止されている」ということです。同時に打つことができるワクチンは、国の認可を受けたものだけで、牛では存在しません。この法令は、「牛さんを護る」ためのものだという事も覚えておいてください。

 ワクチンというものは、「免疫」をいじるものです。免疫は、正常に働く限り、生体を護るために、大変有効なものです。しかしながら、「免疫」はいったん暴走すると、アレルギーやアナフィラキシーショックを起こしたり、自己免疫疾患などの、とてもやっかいな症状をおこしてしまいます。ワクチンは、併用を考えては作られていません。ですから、二種類併用すると、免疫の暴走を招きやすくなる可能性があります。

 免疫暴走以外にも、ヘモ(ヒストフィルス・ソムニ)、大腸菌、マンヘミアなどのワクチンは、グラム陰性菌というタイプのバイ菌の細胞壁を材料にして作られています。この「グラム陰性菌の細胞壁成分」というのは、時々僕が第1胃の異常発酵て出てくる毒素としてお話しする「エンドトキシン」そのものなのです。それを注射するわけですから、単独でも結構副作用があります。発熱などは日常茶飯事ですしね。

 ワクチンというのはそういうものですから、これらを併用すると、危険性はますます高くなるのです。

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