(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
松本大策のコラム
受精卵の持ち出しについての取材

コラム一覧に戻る

2019年3月11日

 先日、天下の国営放送の取材を受けました。ここのところ話題に上がっている「和牛の精液および受精卵の持ち出しについて」について少し話してほしい、との依頼でした。

 3月8日に放送があったそうですが、僕は知りませんでした。だって、放送局から放映の連絡メールが来たのが当日の9:08pmで、放送は9時からちょろっとでしたから(-_-)

 この放送の内容を見て、「ま、報道ってこんなものだろうな」と自分を納得させつつも、なんだか釈然としませんでした。ま、本音を言うと「自分たちの都合で勝手に切り取り編集しやがって!」という、取材後のいつもの想いです。

 精液や受精卵の持ち出しについては、いろいろな考え方があります。「日本だって乳牛の系統造成の時は他の国の精液を使ったじゃん!」という人の言うことも解りますし、「和牛はこの国の貴重な輸出資源で国の宝なのだから、絶対持ち出しなんて許せない!」という考え方も解りますし、僕もどちらかというと、この国の畜産を護る立場としては後者の意見に賛成です。

 しかし、今回の事件は、そういった「いろいろな考え方」とは関係なく、法を犯したことが問題なのです。精液輸出を直接禁止する法令がないので解りにくいのですが、図のようにいくつかの条件があってそれをクリアしないものは「違法」なのです。

 ですから、今回の事件は「考え方」以前に、「それぞれの国を生物汚染から護るための法令違反」なのです。感情が入る問題ではありません。ということも含めて、たくさんお話(2時間以上)したのに、みんなの興味を引きそうな部分だけ切り取るのって、ま、この国の報道では仕方ありませんが、もう二度と「生放送」以外の取材はお断りします。

|