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伏見康生のコラム
「NO.91: 「私たちと和牛、私たちの和牛」」

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2010年5月26日

 そして四十数年・・・、「和牛」が規定されてから六十六年、私たちと和牛の現在があります。

 極東の島国、日本。 その在来牛の飼育の歴史は弥生時代に始まり、延々と三千年以上にも及ぶとの説も。かたや、和牛の歴史は六十六年。在来牛の歴史からすれば和牛のそれはほんの短時間の出来事。在来牛の歴史を24時間に例えれば和牛は30分。

 私たちが望み、今の和牛が在ります。家族として、農耕の労働力として、荷役力として大切にされ、外国種の脅威を乗り越え、労働力として必要とされなくなればその役割を変え、貿易自由化による輸入牛肉にも屈せず、今の和牛があります。そして、その恩恵を受けて私たちは生きています。和牛は、私たちの和牛なのです。

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 全ての和牛は在来牛の歴史と、改良の歴史の上にいます。その中でも特に種雄牛は和牛改良の集大成であり、象徴といえます。牛や豚を始めとする多くの家畜は私たちに沢山の恩恵をもたらし続けてくれています。今回の口蹄疫において多くの牛や豚の命を奪わなくてはならないことは、ほんとうにほんとうに悔しく、悲しい思いです・・・多くの種雄牛の命もまた同じです。
さまざまな意見や想いはありますが、犠牲となった、またこれから犠牲となってしまう全ての動物に敬意と感謝を込めて哀悼の意を捧げたいと思います。

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