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松本大策のコラム
「どうやって防ぐ?(鳥害を考える その2)」

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2006年10月27日


 さて、それでは鳥の持ち込みを防ぐにはいったいどうしたらよいのかを一緒に考えてみましょう。
 最初に考えるのは「鳥の飛来を防ぐ」ということですが、これは以外にやっかいなので、簡単な取り組みやすいことから考えてみましょう。
 まず普通に考えて、鳥の糞が混じると一番マズいのは、牛さんの口に入る機会が多い水場とエサ箱ですよね。でも意外にここが無防備というか、気にされていない農場が多いのです。
 飼槽のエサに鳥の糞が落ちていたり、水槽の水に鳥の糞が溶けていたりしていても、それを見慣れてしまうと日常の光景になってしまい、気にならなくなるんです。飼槽や水槽の鳥の糞を見たら、「毒を混ぜられた!」という意識を持ちましょう。すべての改善は意識改革からです。
 それから、天井のホコリやクモの巣。これは一見鳥と関係なさそうですが、鳥は横木や天井の軒で糞をします。糞は次第に乾燥して粉末になり、ホコリとして舞い上がり、クモの巣に引っかかる、というわけです。ですから、天井のクモの巣やホコリを見かけたら、「あぁっっ、乾燥ウンコだ!」とか「ばい菌のかたまりが降ってきてる!」と恐れおののいてください。実際、牛舎の中で最もばい菌が多いのは天井のクモの巣の中なのです。「乾燥した中では、サルモネラや大腸菌はそんなに長生きできないだろう?」っていう方がいらっしゃいます。正解!ただし、サルモネラ菌や大腸菌は死んでも毒素を残します。内毒素(LPS)というものです。別名「炎症起因物質」。この毒素を吸い込むだけで肺炎の原因にもなります。死んでも迷惑をかけるという点では、見事に悪玉菌ですね。
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