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松本大策のコラム
「スズメが死んだ(鳥害を考える その1)」

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2006年10月25日


 北海道で大量のスズメが死んだと話題になっていましたが、21日のニュースで死んだスズメからサルモネラ菌の一種であるネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)が検出されたという報道がなされていました。
 サルモネラ菌は、人間でも食中毒の原因となりますが、牛さんではひどい下痢や血便、流産や関節炎、肺炎やさらには脳炎を起こして死んでしまう場合もある恐ろしいばい菌です。
 農場へ持ち込むのは、1:導入牛、2:人、3:ネズミや鳥さん、です。頻度からいうと鳥が持ち込むケースがもっとも多いかもしれません。そして、鳥は自由に飛んでくるために、ばい菌の持ち込みを防ぎにくいという特徴もあります。
 鳥が持ち込む病原体はサルモネラ菌だけでなく、やはり血便の原因となるクロストリジウム菌などもあります。よく話題になるコクシジウムは、実は鳥と牛さんでは感染する種類が異なるため、鳥から牛さんへと移ることはありません。
 鳥はどのようにしてばい菌を持ち込むかというと、自分自身が感染していて、おなかの中でばい菌をいっぱい増やして糞の中にばい菌を混ぜて排泄するのです。つまり鳥のウンコの中にはばい菌がウジャウジャというわけです。このとき鳥は感染していても発症していないこともあります。つまり、元気そうな鳥もばい菌を運んでいるという事なのです。
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