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戸田克樹のコラム
第208話「いまごろ悩ましいハエ③」

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2018年10月31日

「牛舎内のハエのおよそ80%は卵、幼虫、さなぎの状態で生存している」ようです。
あれだけとびかっているハエたちは、舎内にいるハエのたった20%ということですね。
飛び交うハエしか普段は目にしませんが、まさかそんなにもたくさんのハエの子どもがいたとは・・・。恐ろしいですね。
そうして、ハエにとって好ましい気温が続いたときに次々に発育段階を踏んで残りの80%が成虫になり飛び交っていくようです。

そうなるともしかして、「ハエを成虫にしなければいい」のではないでしょうか!

そこで登場するのがサイクラーテネポレックスといった幼虫から成虫への孵化を阻害する薬です。こうした薬剤に触れたさなぎは成虫になることができません。孵化阻害薬なので、牛にも人間にも影響はありません。牛も人間も孵化はしないですもんね(笑)。

成虫がブンブン飛び回ってからだと、その数を減らすのはなかなか難しいところです。
こうした薬剤を気温が高くなる前にまいておけば、たとえ牛舎にたくさんのハエの虫卵があったとしても、ハエが飛び交わない夏を迎えることもできるのです!

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