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戸田克樹のコラム
第209話「観察のポイント」

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2018年11月7日

夏が終わったな~と思えば、ラジオからは「今年ももう2か月切りましたね~」との声が。また今年も年末がそこまで来ております。夏が終わると早いですねぇ…。

さて、牛さんの世界でよく耳にするのが「エサは食べるから大丈夫でしょう」、「エサは食べるけど太らない」、「エサを食べなくなったので診察してください」など、エサというワードです。牛さんはどんどん食べて大きくなってもらわないといけませんので、そのワードが頻繁にでてくるのは当然ですね。我々の仕事にも病気を治すだけでなく「採食量を維持し月齢に応じて採食量や体重、体型が順調に増加していく状態にすること」が求められます。

こうしたよく耳にするセリフの中で、「エサは食べるから大丈夫でしょう」には少し危険がつきまとうように思うことがありました。

「咳がなかなか止まらない」と連絡を受けて診察した子牛はすでに肺炎になっていました。
咳には以前から気づいていたようでしたが、エサはすぐ食べにくるし、次のエサやりのときにはなくなるくらい食べていたので獣医師を呼ぶべきか迷ったようです。

肥育牛ではあまりこうしたケースには遭遇しないのですが、「ワクチン接種のために捕まえて熱を測ったら40℃近くあった。ものすごく元気に走りまわっていたのに…」とか、「飼料は完食してたのに…」とか。競り前の子牛では「気づいたら肺炎」というケースに出会うことが時折あります。

熱が出ても元気いっぱい走りまわる子供がいるように、子牛にも熱が出てもへっちゃらな子牛がいるようです。ここで発揮されるのが牛飼いさんの熟達した「観察眼」です。

牛さんのささいな変化を見逃さない観察力を武器に、治療が必要な子牛の摘発を積極的に行い、この季節の変わり目を乗り越えていきましょう。

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