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伏見康生のコラム
「NO.61: I LOVE HARD!! 第21回 「子牛用ハッチ(19)」」

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2009年10月14日

(6)その他

b)使用後のお手入れ
 ハッチの重要な機能の一つは子牛をウイルスや細菌の感染から防御することです。使用後は、敷料はもちろん、床、ハッチ自体も病原体に汚染されて次の子牛に感染させる恐れがあります。前の子牛が使用したハッチをそのまま反復使用するのは言語道断!!反復使用は「ちょっとうち散らかってますけど、どうぞおあがりください・・・」なんて程度の生ぬるいものではなく、ジャングルのど真ん中にヘリからパラシュートで子牛を放り出すくらいの危険レベルの高さだと思ってください。
 したがって、子牛の移動後にはハッチおよびその周囲を適切に清浄化してあげることが重要なポイントとなります。
 以下、具体的な洗浄・消毒については簡単に記載させていただきます・・・。まずは有機物の除去です。当然敷料は全部さらい、床面やハッチにこびりついたウンチの除去をしてあげます。何より有機物自体が病原体の巣になりますし、洗浄・乾燥・消毒の全ての妨げになります。続いて水洗による洗浄を行います。高圧洗浄器があると非常に汚れの除去効果は高く、作業もラクチンです。農学博士の横関正直先生は著書の中で、ただの水洗だけではなく洗剤を使用して洗浄をすると有機物の除去率は飛躍的に上昇するため、その後の消毒の効果も桁違いに高くなると報告されています。その後、乾燥させます。日当たりと風通しのよい場所にハッチを置いて、自然換気と紫外線による乾燥・殺菌効果をねらいます。最後の消毒ですが、消毒薬一つにしてもいろいろな種類と特性があり選択に非常に迷われると思いますが、消毒薬の暴露時間が長いほど殺菌効果は上がりますので、長く留まっている発泡消毒や石灰乳塗布は大変有効です。特に石灰乳塗布は殺菌力の高さも秀逸なうえ、消毒後もバリアーを張り続けますのでお勧めです。詳しくは松本先生のコラムをご参考に(逃)・・・。

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