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伏見康生のコラム
「NO.60: I LOVE HARD!! 第20回 「子牛用ハッチ(18)」」

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2009年10月7日

(6)その他

a)レイアウトの工夫
 ハッチのレイアウトのポイントは、「隣の子牛と接触できないくらいにハッチ間に十分な距離をとる」ことです。作業動線も考慮して、ヒトが通れるくらいの幅が理想です。その狙いは、疾病の水平感染を防ぐことと、良好な自然換気を行えるようにすることです。
 私がこれまで目にしてきたハッチの中には隣の子牛と舐めあうなどの接触をすることができる構造になっているものが結構あります。敷地面積や構造上の問題もあり、なかなかレベルの高い要求ではありますが、この設置方法で、乳首などの共用備品の衛生管理も行き届いている農家さんでは、哺乳期の肺炎・腸炎の集団感染はまず見られません。単発で発生する疾病も本当に少なく、とてもよい健康状態で離乳を迎え群飼へと移行していきます。
 ただ、このお話は特に屋内設置の写真のような壁構造のない(壁に隙間の多い)ハッチを設置するときのことをイメージしたものです。屋外設置の完全部屋タイプの場合は、当然隣の子牛とは接触できませんし、ハッチ間の距離があっても換気にはそう大きく影響はないと思われます。また冬季の冷え込みが激しい時期には冷えや寒冷な風の吹き込みを緩和するため、ハッチを隣接させてならべてもよいですが、その際にはハッチ間にコンパネを立てて風よけをし、かつ独立性を保つようにします。

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