「子牛の顔がパンパンに腫れちゃって、先生見に来てよ!」と、往診依頼を受けた8月のある昼下がり。見に行くと、農場では農家さんが到着を待っていてくれた。
農家さん曰く、「顔が片方だけすごい腫れかたしてるんだよね〜」
ふむふむ…全身の毒素だったり感染だったりすれば両方腫れるから、何か局所的な物理的原因か…
「そういえば今朝エサやりに行ったら、子牛が金属の柵の隙間に顔を挟んでたんだよね〜」
ふむふむ…うっ血(静脈の流れが妨げられてむくんだような状態)して腫れたのかな…
「でも顔が腫れてるのは顔挟んでた子じゃないんだよね〜」
ふむふむ…って、え!?じゃあそれは全く関係ない話しだね(汗)…
「と、とりあえず見せてください!」
「わっ!」確かにそこには右側の鼻孔と口の周囲のみどど〜んと腫れた子牛がっ!!まずは全身の触診から、ぺたぺたもみもみ…。鼻の通りは悪いが、熱はなく、一般状態も安定している…。もっかい患部を中心に触診、さわさわなでなで…むむっ!?発見!!!犯人の残した足跡を発見いたしました!!!お鼻の横にはくっきりと牙が刺さったような痕。周囲の腫れ方からも犯人はマムシに違いありません!!夜中、ヘビが部屋に入ってきて、好奇心旺盛ながらも臆病な子牛くんはおそるおそる近づき、においを嗅いだところを・・・がぶりっ!!あわわわ・・・
マムシの毒は溶血や筋壊死を起こす危険なものですが、軽症だったのか、牛への感受性が低いのか、今回の子牛は3日間の治療で腫れも引き、すっかりよくなりました。皆さんも蛇にはご注意を〜