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「足がはれた」という稟告で診療の依頼を受けることがよくあります。関節炎やフレグモーネ(小さな化膿巣がびっしりと蜂の巣のように入る病気で蜂か織炎とも呼ばれます)の場合も多いのですが、関節に炎症もなく細菌の感染もないのに足が腫れているケースがあります。 中足部(前足では中手部といいます)という足首(球節)の上の、一番細いところがむくんだようになっているタイプです。むくみは球節や膝まで波及している場合もあります。腫れ(腫脹)とむくみは触ってみるとわかります。腫脹の場合は手で押さえてもすぐに戻りますが、むくみの場合は手で押さえた後がずっと凹んで残ります。こういうむくみを冷性浮腫とよびます。 牛さんの場合、このタイプの浮腫の原因は、第一胃の異常発酵で発生する”エンドトキシン”という毒素であることが多いです。この毒素の影響で血管から水分が漏れ出やすくなってしまうのです。ビタミンAの不足も第一胃粘膜の酸吸収能力の低下を招いて第一胃の異常発酵の誘因になりますから、足のむくみも出やすくなります。 ですから治療方針は、むくみ除去のための消炎剤だけでなく、第一胃の発酵改善も重要になりますし、不足している場合はビタミンAの補給も必要です。ただ、足の腫れというと機械的にビタミン剤を投与する方がいらっしゃいますが、原因をきちんと突き止めないと治らない場合もありますし、不必要なビタミンAを与えてしまう場合もあります〜注意しましょう。
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