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伏見康生のコラム
「NO.48: I LOVE HARD!! 第10回 「子牛用ハッチ(8)」」

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2009年7月8日

(4)敷料と床材その3 
 続いて敷料の考察です。
 中央畜産会の、「堆肥化施設設計マニュアル ,1987」によると各敷料の性質と性状は図のとおりです。いなわらは加筆です。

a)ノコクズ
 もっとも一般的に使用されている敷料のノコクズは、脅威の吸水率(280-450%)を誇り、糞尿の水分をよく吸収してくれます。また保温効果、アンモニア等の臭気成分の吸着性も高いとされます。そんな万能選手のノコクズですが、やっぱり敷料の管理や交換がとっても手間になります・・・。ほっておいてぬかるみが生じれば百害あって一利なし。そこで、ノコクズ床の管理で一番よいのは掲示板で「宮崎の甲斐さん」も紹介されていた(分娩房でしたけど)、ノコクズ追加方式です。しかもガンガンと(笑) 同じく掲示板から「繁殖松田さん」も藁にて「大げさなほどの敷き藁と、クソがどこにあるのか見当たらないように毎日敷き藁の補給。寝れば3分の1が埋もれる乾いた敷き藁を維持」と紹介されています。 シェパードの地元農家Iさんの子牛ハッチでは、牛体の汚れと敷料の濡れ具合を目安にこまめにノコクズを追加しています。2ヶ月の離乳時にノコクズは30cmに達し、ハッチの撤去にあわせて一気に敷料をさらいます。それまでの間、敷料をとることは一切なく、下痢・風邪といった病気の治療もまずありません。もちろん子牛はキレイです。ちょいと軟便になっても生菌剤とエクテシンでビタどまりです。「ガンガン足すだけ」という簡単な管理で、ノコクズはすごい能力を発揮してくれます。
 ノコクズの注意点として、乳頭糞線虫の感染があります。昔からよく言われることですが、ノコクズは乳頭糞線虫のふ化、増殖に格好の場所となります。しっかりと駆虫が定着してきている昨今、あまり取りざたされることも少ないですが、・・・ヤツらはいます(いました!!)!!!特にこれからの夏季、持続的な下痢や肢端のハゲ、かゆそうに舐める子牛を見つけたらポックリいく前に駆虫です!!!(ちょっとブラックになりましたが、乳頭糞線虫感染症は別名ポックリ病といわれ子牛の突然死を起こすことがあります)。あと、あまりにサラサラと目が細かく乾燥しすぎたノコクズは喉に物理的刺激を与える可能性があるうえ、アンモニアの吸収力も弱いとされます。表面のサラッサラよりもちょっと内側のちょっとしっとりしたところを使うのがいいかもしれません。

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