(4)敷料と床材 その2
まずは床材の考察からいってみましょう。
ハッチの床には大きく、地面型と高床型の2種類があります。
a)地面型
地面型ではハッチ自身には床がないことが多く、そのまま地面が床になります。すると必然的に屋内設置ではコンクリートが、屋外設置では土が床となります。
コンクリートの場合、排泄された尿は一箇所に留まることがなく流れ出し、ハッチの隙間からも出て行くことができ、なかなかの排水性を備えています。土の場合では尿は表面に留まりやすく、コンクリートほどの排水性は期待できません。同じ土とはいえ、シラスなどは強い浸透・透過力を持っており水はけが期待できます。
地面型ではそこにノコクズなどの敷料をしいて飼養しますので、その排水能力に加えて保温力を高めることができます。直接つめた〜い地面と接することで奪われる熱を、ノコクズなどがエアーマットを作ることで防いでくれます。糞尿が敷料と混ざり、くるまれ、直接牛体を濡らすことが少なくなるのもまた保温になります。しかし逆に、敷料が無いと常に糞尿まみれになりますし、敷料もまめに追加・交換してやらなくてはまったく意味がなくなってしまいます。
b)高床型
高床型のハッチは、多くは床がメッシュ上の金網でできています。
この手のハッチの場合、糞尿は排泄後に金網を通過して落下するという構造になっています。排水性、抜群です!
子牛は糞尿で濡れるリスクが激減しますので、蒸発熱による体力のロスが少なくなります。また敷料を用いることはありませんので、手間、費用の面でも大きく助かります。しかし欠点としては、敷料を用いないため自分の被毛以外は保温をしてくれるものは無いので、外気温が下がったときの保温性は良くないということがあげられます。また金属への伝導熱による冷えも見逃せません。特に腹部の冷えは敷料を用いた地面型とは大きく差があり、それが原因となって下痢を起こすリスクも高まると思われます。