(2) サイズ
次は、サイズについてです。既製品ならもう大きさは決まっているので良いのですが、手作りされている方は、いざ作るとなるとサイズに関していろいろと頭を悩ませたものと思います。私も作ってみたことがあるのですが、すっごい悩みました(笑)。用いる材料の大きさの都合(コンパネやワイヤーメッシュなどは特に統一規格ですから・・・)、子牛の大きさ、安全性、設置スペースの問題・・・予算(泣)・・・考えなくてはいけないファクターは枚挙に暇がありません!!しかし、あくまでハッチの原点は「幼若な子牛を個別に管理し健康に育てる」そこを中心にサイズについて考察していきたいと思います。
a)幅×奥行き
このサイズを決めるにあたってまず考えなくてはいけないのが飼育する子牛のサイズです。一般的に人工哺乳の期間は、長くても3ヶ月までです。3ヶ月の黒毛和種去勢子牛の平均体長は94.1cm、体高は88.8cm(全国和牛登録協会、1978)。この大きさの子牛が無理なく体を動かし、ゆったり寝るには最低120cmの幅が必要です。そして、子牛が回転して行き来でき、敷料の汚れの少ない場所で寝れるように180cm以上の奥行きが必要です。この長さがあればご飯の場所(糞尿もたまりやすい)、寝る場所をある程度分離することができます。これ以下の短さでは子牛自身の糞尿で体が汚れやすく、体力も奪われますし敷料の交換の頻度も上がります。理想としては極端に奥行きを持たせなくても、ご飯の場所、寝る場所を完全分離し、糞尿の汚れのないところで寝てほしいのですが、トイレ場所を決める習慣がない牛にとってはとても難しい問題です。現在検討中です!!良いアイディアありましたら教えてください。
b)高さ
枠の高さはやはり子牛の体高をもとに設定すべきです。3ヶ月齢の黒毛和種子牛がおよそ90cmあり、視点はそのさらに上の110cmくらいあります。好奇心の強い子牛たちは枠の上に頭を乗せてあたりを見回していることがあります。これは哺育農家さんに教えてもらったことなのですが、子牛が顎を乗せることのできるくらいの高さは飛びこえることがあります。もちろんぴょーんとひと越えではありませんが、だからこそ腹部などを傷つける可能性があります。飛び越えタイミングはミルク直後のハイテンションな時やヒトが進入して逃げ回る時が多いです。子牛の安全のためにも高さは100cm以上必要です。ハッチに屋根構造があるところでは飛び越えは関係ありませんが、体高から考えて同様に100cm以上は必要です。ただ100cmを越えてくるとスーパーモデル経験のある飼い主でないとまたげないので、凡人の私たちは入り口の設置を考えなくてはなりません(笑)
c)スキマ
あ、あとサイズといえば、子牛くんは縦長のスキマにはかなり柔軟に対応してすり抜けてきます!!粗飼料を良く食べたまん丸おなかの子牛くんも、肩さえ抜けてしまえばおなかはバランスボールのように形を変えてすり抜けちゃいます(憎い)!!「まあ、これくらいあれば子牛も出られないだろう・・・」とあま〜い考えで私が作った写真のような部屋では子牛が外からスターターを食べるという稀有な状況に遭遇したこともあります(泣笑)!!具体的には縦のスキマは15㎝以内に(生時の平均胸幅15.4cm)、横のスキマは20cm以内に(生時の平均胸深29.2cm)とどめるべきです。