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伏見康生のコラム
「NO.43: I LOVE HARD!! 第7回 「子牛用ハッチ(5)」」

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2009年6月3日

(3)材質
 今回はハッチを作る材質について考えてみたいと思います。既製品、自作品の区別なしに考えてみると、現在使われているハッチは金属、樹脂、木材、あるいはそれらの複合などさまざまな素材で作られています。材質の選択には前々回の「設置場所」も大きくかかわってきます。
 屋内に設置する場合、寒冷・暑熱・風雪雨といった気象要因は牛舎の屋根や壁構造によってすでに殆どが遮断されているため、ハッチを壁で囲まれた部屋状の構造にする必要はなく、むしろ風通しがよく全体が乾燥しやすいような構造が求められます。そこで角材や金属が使われることが多いです。角材や板は安価で成形しやすく手作りに向いていますが、消毒しにくいです。木材の粗雑な表面は多孔性で微生物の住処となりやすく、消毒効果が得られにくいので新しい子牛を入れる前には念入りに洗浄と乾燥をする必要があります。金属は洗浄・消毒がしやすいため衛生面に優れ、木材よりも耐久性があり耐用年数が長いです。ただし、金属は重く、高価で加工が難しいため本格的な構造にするにはプロの手を借りることになるかもしれません。ただ、金属製ではあるものの写真のワイヤーメッシュは軽く切断などの加工もしやすく非常に使いやすい材料です。
 屋外設置の場合は日、雨、風、雪をしのげる本格的な部屋にしなくてはいけないため壁が必要です。使われる材料は合板あるいはFRPの二者が多いです。合板はやはり安価で加工しやすい点が魅力ですが、一番の売りは断熱性です。木材のもつ断熱性は高く、暑熱・寒冷対策の点からも優れています。問題点は衛生面ですが、表面に防水塗装してあるカラーコンパネは木材表面の微細孔が塞がれているため、通常の合板に比べて洗浄・消毒しやすく衛生面に優れていると考えられます。銀色の防水ペンキをご自身で塗装されている方もいらっしゃいます。FRPはガラス繊維を樹脂で固めたもので、強化プラスチックといったところです。軽く丈夫で洗浄・消毒がしやすい使いまわしの良い材質ですが・・・既製品以外で手に入るのでしょうか?また最近は断熱効果に優れたものも開発されているようです。

材質を選ぶ上で重要な点をまとめると・・・
(1)衛生面(洗浄・消毒ができる)
(2)断熱性(特に屋外)
(3)頑丈さ
(4)加工しやすさ
(5)重量
(6)価格

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