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松本大策のコラム
梅雨時期の対策  つーゆーが来る前に〜(古っ)

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2018年6月4日

 南九州はすでに梅雨入りしました。梅雨ってじめじめしていやですよね。気分も落ち込みがちだし。でも、それは牛さんも同じだと思うんですよね。
 僕たち獣医師がもっとも難しい診断が、牛さんの「頭痛」とか「落ち込み」だと思うんです。牛さんだって頭痛はあるはずですけど、なんだか元気がないとか、ボーッとしているとか、そんな感じしか表さないのではないでしょうかね。「牛が人間みたいに落ち込むわけがない!」という人もいるかもしれませんけど、実際に同居牛(おそらく友達同士だったのでしょう)が出荷されたあと、一人残されて食欲がなくなったという症例は、数多く経験していますからね。やっぱり牛さんだって落ち込むのだと思いますよ。
 
 あ、今回のお話しは、梅雨の備えでした。雨の前は気圧が低下して、体内の圧力が上昇し、いろいろな弊害が出るというお話しは以前しましたよね?気圧だけはコントロールできませんが、梅雨時期の悪影響を最低限にするために、僕は3点はぜひお勧めしたい対策があります。

 まず1つは、気圧の影響で腸内細菌のバランスも崩れやすくなること、そして気分も落ち込みがちであるということ、この2点を考えると、まずはアースジェネターやビオスリーのような生菌剤を与えて腸内細菌叢の変化を抑えることが重要だと思うのです。「えーっ?腸内細菌叢の変化を抑えるのは解るけど、気分の落ち込みに生菌剤?」と思う方が多いと思います。でも最近の腸内学会の話題は、「脳自律神経腸内細菌連関」というものです。これは、簡単に言うと次の2つの意味があります。1つは「ストレスや気分の落ち込みで腸内細菌は変化するよ」という意味です。みなさんも職員室に呼ばれるとお腹が痛くなった経験あるでしょ?これは、ストレスがかかると15分程度で、腸内細菌が変化するために、お腹がグルグルになるのです。もう1つが重要なのですが、「腸内細菌がしっかりしていれば、ストレスがかかっても、気分が落ち込まないし平常心が保たれる」というものです。ネズミの尾かじりなどもなくなるそうです。

 実際、カルピスも鬱などの心の状態の改善に「ガセリ菌C23」という健康食品を売り出しています。どうです、梅雨時期こそ生菌剤!っていうのも理解出来るでしょ?その他にお勧めするのが、カビ毒や消化管内異常発酵で発生する毒素を吸着するマイコAD-AZなどの吸着剤、それらの毒素を肝臓が分解するのを助けてくれるリカバリーMなどの強肝剤、の3点です。

 カビ毒は、肝障害や胃腸炎などの他さまざまな悪影響をおよぼします。とくに繁殖牛では、発情が不定期に来て受胎しないというやっかいな状態になるので、十分すぎるくらい注意しましょう。カビ毒吸着剤を与えているからと言って、カビの生えた飼料を与えるなんてもってのほかですよ。カビが牛さんの腸に生えてひどい血便をやらかす「牛出血性腸症候」なんかにかかったら、治癒が困難ですからね。

 
 
 
 
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