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松本大策のコラム
(番外編)気圧とストレス

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2012年10月1日

 ここのところ大型の台風がいくつも日本を襲っています。台風は畜舎を破壊したり、牛床を水浸しにしてくれたりと、それだけでも大変な被害をもたらします。
 ですからこれまでのコラムでも、台風が来る前は堆肥舎をカラにしておきましょう、とか、敷料はぬれないようにして集めておきましょう、とか書いていたのです。だってポンプアップで水を揚げている場合は、停電で牛さんの飲み水はない上に、牛舎は汚い水であふれているわけですから、牛さんはその水を飲んでお腹を壊してしまうことが多いでしょ?
 だから台風後の健康管理対策にはゼオライトやソフトシリカなどの毒素吸着剤とアースジェネターなどの生菌剤を用意しておきましょう、と呼びかけていたのです。

 今日の本題はここからです。たとえ牛舎が無事でも、気圧の大きな変動がある場合には、第一胃をはじめとする消化管内細菌叢が乱れて悪玉菌が増えてしまうことが解っています。これは気圧変動による直接的な影響のほかに、気圧変動ストレスによる自律神経の失調がホルモンバランスや、消化管温度の低下を招き、腸内の環境が変化するために善玉菌よりも悪玉菌に適した消化管内環境になってしまうことが原因だと言われています。

 だからこそ、牛床が水浸しになってお腹が冷える状況はより好ましくないですし、消化管内で発生する毒素を吸着する吸着剤や善玉菌を増やすための生菌剤などは、大変効果的なのです。
 腸の温度が1度冷えると免疫も8%程度低下するということが解っています。牛床の管理は大切ですし、消化管内の善玉菌が保たれれば、発酵温度で腸内温度も保つことができて一石二鳥です。

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