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松本大策のコラム
(番外編)これから気をつけよう!

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2012年10月15日

 今回は、ちょっと話題を変えて「これから注意するべき伝染病」のお話しをしたいと思います。

 僕が、これから注意しなければならないのではないか?と警戒している牛さんの病気は3つあります。一つ目は、「強毒型アカバネ病」。アカバネ病は流産や奇形の原因としてすでに有名ですし、繁殖牛のお母さん牛にはワクチンを打つようになっています。しかし、近年、成牛で発症して起立不能に陥り、治療の方法がなく死んでしまうタイプのアカバネ病が散発しています。数年前には熊本県での発生で話題になりましたし、昨年は山陰地方で発生して問題になりました。
 アカバネ病もウイルスが原因ですから、ウイルスの変異で病原性が強くなったのだと思われますが、流産防止のワクチンが有効と考えられていますから、これから肥育牛にもワクチンを打つことになるかも知れません。

 次が、「ボツリヌス病」です。こちらはカラスなどの鳥が運ぶ細菌が原因で起こります。血便の原因となるクロストリジウムという菌の仲間で、クロストリジウム・ボツリナムという種類のバイ菌で発生するのですが、この仲間は人間の食中毒でも有名です。ただし、同じボツリヌス菌でも、牛さんで問題になるボツリヌス菌と人間の食中毒の原因となる菌は、ちがう系統なので、牛さんのボツリヌス菌で人が食中毒になる心配はほとんどないと言われています。とはいうものの、牛さんのボツリヌス菌でも、起立不能(特に後足から崩れて立てなくなるようです。)から死に至るものも多いので予防に心がけなければなりません。
 ボツリヌス菌は鳥が運ぶので、防鳥ネットを張るのも効果的ですし、ボツリヌス菌のワクチンも京都微研から出ていますので、周辺で発生が見られるようでしたら打っておいた方がよいでしょう。

 最後の一つは、地域的には蔓延してしまっている「マイコプラズマ」です。こちらは、以前のコラムなどでも紹介していますので参照してみてください。

 ただでさえ、生産コストのかかる時代です。病気や事故を防いで、損害コストだけはしっかりと下げる工夫をしましょう。

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