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松本大策のコラム
(番外編)夏の疲れ(その2)

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2012年9月24日

 さて、身体にたまった「毒素」を分解して出してやることも「疲れをとる」ためには大切なことです。人間でも、最近(最近じゃないか?)「デトックス(毒素排泄)」健康法が流行っていますよね?
 牛さんでも人間でも、身体の中で毒素を分解してくれる最大の器官が肝臓です。肝臓では「解毒酵素」で体内の毒素を分解していますが、「酵素」には働くのに最適な温度があります。秋風が吹き始めたとは言うものの、西日が当たって暑くてたまらない状態では、肝臓の温度も上昇して解毒酵素の働きが悪くなってしまいます。
 それから、肝臓で分解する主な3つの毒素と言えば、第一胃で利用されなかったアンモニアや筋肉の分解で発生する「アンモニア」、筋肉の運動で発生する「乳酸」、そして消化管内の異常発酵で発生する「エンドトキシン」などの消化管内毒素、です。
 このうち、乳酸の発生量は運動に比例しますし、アンモニアは第一胃の健康状態と筋肉の新陳代謝に関係します。それから消化管毒素は、第一胃の発酵が良好であれば減らすことができます。
 運動量や、筋肉の新陳代謝は、なかなか制限することができません。そこで、第一胃の健全な発酵を保ってあげることを考えましょう。そうすることによって第一胃で余るアンモニアや異常発酵で発生する消化管内毒素を減らすことを考えましょう。給餌の時間を一定にする、良質の粗飼料を給与する、生菌剤の利用、などで第一胃の健康を護ってあげましょう。
 それから、発生した毒素を肝臓が分解するお手伝いに、強肝剤やビタミンEを添加してあげるのも効果的です。肝臓が働くときに「活性酸素」という新たな毒素が発生するのですが、ビタミンEは活性酸素を消去してくれるからです。強肝剤として知られている物は大きく分けると、ウルソ系とパンカル系に分けられます。ウルソは、毒素の排泄を高めますが、パンカル系は肝臓をはじめとする身体の各細胞にエネルギーを与えて元気にする働きを持ちます。肝臓が暑さなどで弱っているときは、まずパンカル系などで肝臓を元気にするのもよいでしょう。

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