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伏見康生のコラム
「NO.31: 「中耳炎とその治療(18)」」

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2009年3月14日

治療8 中耳炎 其の四
(3)耳道薬注・洗浄
 鼓膜穿刺のあとは、耳道薬注と洗浄を行います。方法は外耳炎の時と同様ですので第26回を参照してください。鼓膜を破っているのでやっと膿が排出できるようになっています。根気よく毎日(できれば一日数回)洗ってあげてください。子牛の治療経過写真を撮っておくと、徐々に目が元に戻り、耳が持ち上がってくるのが目に見えて実感できると思いますよ!!

(4)抗生物質、消炎剤の注射
 こちらも外耳炎の時と同様に抗生物質と消炎剤の注射をします。抗生物質は、中耳炎の原因とされるマイコプラズマに有効なニューキノロン系抗生物質(バイエル社バイトリルなど)や、マクロライド系抗生物質(エランコ社タイランミコチルなど)を積極的に使用することが早期治癒に有効です。数日間の連投が必要ですが、薬の選択や期間はかかりつけの獣医師と相談してくださいね。

注:鼓膜穿刺は基本的には一回でよいのですが、時に「鼓膜は破った直後は排膿良好だったのに、昨日あたりから耳を洗っても膿を飛ばしてくれない・・・」なんてことがあります。もちろん治って膿が出なくなったのなら問題ありません。症状が治っていないのに膿が出なくなったときには膿が浸出液と混ざって固くなってしまっていたり、それが耳道にフタをしていることなどが考えられます。そういった場合にはもう一度穿刺をしましょう!!

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