疫学 およそ半年間(笑)ながながとお付き合いいただいた中耳炎コラムの最後に、発生状況などの疫学を少しお話させていただきたいと思います。 アメリカで1997年に牛の中耳炎の起因菌として報告されたマイコプラズマが国内で分離同定されたのは2001年の北海道のことで、さほど昔のことではありません。その前から中耳炎という病気自体の認識はあっても、特に注目され始めたのはそのころのようです。 その後、北海道、本州などで多頭飼育農場における子牛(主に哺乳)の集団発生がいくつか報告されています。集団ではないものの私たちの診療区内でも発生はあり、身近な病気として認識が広まってきていると感じています。 元来マイコプラズマは呼吸器感染症が一般的であり、多頭飼育で集団発生しやすいのですが、加えて乾燥に強く、汚染された牛舎環境でしぶとく生存すると考えられているため、複数の子牛が同じ乳首や哺乳瓶、水のみバケツや飼槽を使っていればもちろん他の子牛にうつしてしまうリスクはとてつもなく高まります。少頭自然哺育よりも多頭人工哺育での発生が多いといわれるのにはこういった理由もあると思います。私自身もやはり(?)多頭人工哺育で発生が多いという印象があります。(自然哺育ではまだ見たことがありません) ぜひとも明日から改めて消毒を積極的に実施していただきたいです。
本当に簡単な疫学(笑)でしたが、コラムを通してマイコプラズマと中耳炎について少しでも理解を深めてもらえたらうれしいです。原因不明のまま発育不良になってしまったり、あるいは不幸にも命を落としてしまう子牛たちがいなくなることを願い、「中耳炎」終了です!!!
次回は、子牛に団子を上手に食べさせてみたいと思います!
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